整骨院の施術録の書き方|指導・監査で見られるポイントを解説

目次

はじめに

「施術録は書いているけれど、これで合っているのか不安」
「指導や監査では、どこを見られるのだろう」

受領委任で保険請求を行う整骨院にとって、施術録は請求内容の根拠となる、もっとも重要な書類です。支給申請書がきれいに書けていても、施術録で裏付けられなければ、返戻や減額、さらには指導の対象になるおそれがあります。

この記事では、施術録の書き方と、指導・監査で見られるポイントを整理します。なお、施術録の保管期間と廃棄方法については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

1. 施術録とは?

施術録は、患者ごとに施術の経過や内容を記録する書類です。受領委任の取扱いでは、施術録を適切に記載して保管することが求められ、保険者などから提示や閲覧を求められたときは、速やかに応じることとされています。

施術録の役割は、大きく3つあります。

  • 請求の根拠:支給申請書の内容が事実に基づくことを裏付ける
  • 施術の質の担保:経過や施術内容を記録し、一貫した施術につなげる
  • 説明の材料:患者照会や指導・監査の際に、施術の事実を説明できる

2. 施術録に記載する項目

施術録には、主に次の項目を記載します。

  • 受給資格の確認に関する事項:被保険者証の記号・番号、保険者名、資格取得年月日、有効期限など
  • 患者の基本情報:氏名、性別、生年月日、住所
  • 負傷の情報:負傷年月日、負傷の原因、負傷名、負傷部位
  • 初検年月日
  • 施術の経過:来院日ごとの症状の変化や状態
  • 施術内容:実施した施術、部位
  • 転帰:治癒、中止、転医など
  • 医師の同意に関する事項:骨折・脱臼などで同意が必要な場合

保険証の確認は、適宜、定期的に行うことが求められています。確認した事実も施術録に残しておくと安心です。

3. 施術録の書き方のポイント

① 負傷原因は「いつ・どこで・どのように」を具体的に

「転倒して痛めた」だけでは不十分です。日時、場所、状況、痛めた部位がわかるように書きます。

  • NG例:右足首を痛めた。
  • OK例:〇月〇日、自宅の階段で足を踏み外して転倒し、右足首を捻った。右足関節外側に疼痛、腫脹あり。

② 来院ごとに経過と施術内容を記録する

初検時だけでなく、毎回の施術日ごとに記録を残します。「前回同様」の連続や、コピー&ペーストの繰り返しは避けましょう。

③ 症状の変化と施術内容を対応させる

症状が変われば、記載も変わるはずです。経過に沿って記録することで、なぜその施術が必要だったのかを説明できます。特に施術が長期にわたる場合は、経過と必要性の記載がより重要になります。長期施術の扱いについては、長期施術ルールまとめで詳しく解説しています。

④ 部位・負傷名を支給申請書と一致させる

施術録と支給申請書で部位や負傷名がずれていると、返戻や指導のきっかけになります。請求前に必ず突き合わせる習慣をつけましょう。

⑤ 医科の受診状況も記録する

同じ負傷で医療機関にかかっている場合は、請求に影響することがあります。患者さんへの確認内容を施術録に残しておくと、後から説明しやすくなります。詳しくは医科併給の記事をご覧ください。

⑥ 訂正は履歴が残る形で行う

紙の場合は、元の記載が読める形で二重線を引き、訂正日と訂正者がわかるようにします。後から書き換えたと疑われる状態は避けるのが基本です。

4. 指導・監査で見られやすいポイント

指導・監査では、施術録と請求内容が一致しているかが中心に確認されます。

  1. 施術録と支給申請書の整合性:部位、負傷名、施術日数、金額が合っているか
  2. 来院実績の裏付け:請求した日に、実際に施術した記録があるか
  3. 負傷原因・経過の記載:具体的で、事実に即しているか
  4. 同じ文言の繰り返し:経過が毎回同じ記載になっていないか
  5. 部位数・長期施術の記載:3部位目以降や、長期にわたる施術の理由が記録されているか
  6. 往療料の根拠:往療が必要だった理由や距離が記録されているか
  7. 同意・医科受診の確認:必要な同意の取得や、医科との関係が記録されているか
  8. 提出できる状態か:求められたときに、速やかに提示できるか

あわせて、近年は保険者による患者照会も行われています。患者さんの記憶と施術録の内容が食い違わないよう、日頃から正確に記録しておくことが大切です。患者照会についてはこちらの記事で解説しています。

患者照会で健康保険の適用外と判断され返戻になった場合でも、施術録を添付して再請求できることがあります。いざというときに施術の根拠を示せるのが、施術録です。

日頃から「請求の根拠が施術録で説明できる」状態にしておくことが、最大の対策です。

まとめ

  • 施術録は請求の根拠であり、指導・監査でも中心的に確認される
  • 負傷原因はいつ・どこで・どのようにを具体的に書き、毎回の経過を記録する
  • 施術録と支給申請書は、請求前に必ず突き合わせる
  • 日頃から施術録=請求内容を説明できる状態にしておく

いかがだったでしょうか。現在は手書きが推奨されていますが、柔整鍼灸の業界もいずれかは電子カルテになって運用が楽になる日も来るでしょう。そうなると他方からの目がより厳しくなると思うのでそれまでに、正しい知識を身に着け実行していくことが、安定的な院運営に繋がってくるかと思います。
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